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現役獣医師執筆「家でマダニから守る!知っておくべき予防策とは?」

ワンちゃんを愛する全ての飼い主にとって、ダニは避けて通れない問題です。
公園や散歩道で見つからない日はないほど、犬の健康を脅かすダニから愛犬を守る方法について、詳しく解説します。この記事では、ダニの種類、感染経路、寄生後の感染症、そして最も重要な予防策と正しいダニの取り除き方を紹介しています。
愛犬が健康で快適に過ごせるよう、適切なケア方法を学び、日常のお手入れに活かしましょう。

1. 犬に寄生するダニの種類

1-1. マダニ

マダニは体長が3〜10mm程度の大型ダニで、吸血すると1〜2cmにまで膨れ上がります。
マダニに噛まれると、強いかゆみや痛みを感じることがあり、大量に吸血されると貧血を引き起こすことがあります。また、高熱や嘔吐、食欲低下などを伴う「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」を発症する場合もあります。
SFTSは人に感染する恐れもあるため、特に野山に入った後はマダニがついていないかを確認し、家に持ち込まないように注意が必要です。

マダニ

1-2. イヌセンコウヒゼンダニ

イヌセンコウヒゼンダニは肉眼では見えない小型ダニで、犬の皮膚にトンネルを掘って寄生します。
このダニが原因で「疥癬(かいせん)」を引き起こし、犬は強いかゆみを感じるようになります。
感染が進むと、顔、耳、お腹、胸、肘、かかとなどが脱毛し、かさぶたができ、黄色いフケが出ることもあります。
感染力が非常に強く、他の犬や猫、さらには人間にも感染する可能性があるため、他のペットや家族への感染防止も重要です。

2. 犬のダニの感染経路は?

2-1. マダニの感染経路

マダニは主に公園、河川敷、野山、庭など草むらに隠れて生活しています。
犬が散歩やレジャーの際にこれらの場所を訪れると、マダニが犬の体に付着することがあります。
また、犬だけでなく飼い主の服や靴にも付着し、家の中に持ち込まれることも少なくありません。
そのため、外出から戻った後は、犬だけでなく飼い主自身の服や靴もチェックし、ダニの侵入を防ぐことが重要です。

レジャー

2. 犬のダニの感染経路は?

2-2. イヌセンコウヒゼンダニとイヌミミヒゼンダニの感染経路

イヌセンコウヒゼンダニとイヌミミヒゼンダニは、感染した犬や他の動物との直接接触によって犬に感染します。
これらのダニは特にペットショップ、ドッグラン、公園など、多くの犬が集まる場所での感染が見られます。
また、これらのダニは猫をはじめ他の動物からも感染することがありますので、他のペットとの接触にも注意が必要です。犬が他の動物と接触した後は、特に耳や皮膚を注意深くチェックし、早期に異常を発見できるようにしてください。

イヌセンコウヒゼンダニとイヌミミヒゼンダニは、感染した犬や他の動物との直接接触によって犬に感染します。

2-3. ニキビダニの感染経路

ニキビダニは通常、母犬から子犬に感染するとされています。
このダニは健康な犬にも存在しており、通常は問題を引き起こさないですが、犬の免疫力が低下した際に活性化し、皮膚病を引き起こすことがあります。

ニキビダニによる感染は主に繁殖期に多く見られ、特に子犬のケアをする際には、定期的な健康チェックと適切な皮膚ケアが重要です。

ニキビダニ



3. マダニによって感染する可能性のある感染症は?

3-1. 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、マダニが媒介するウイルスによる病気で、感染した犬は高熱、嘔吐、下痢などの症状を示すことがあります。
また、白血球の減少や血小板の減少が見られ、重症化すると生命に関わる状態に至ることもあります。
人間にも感染する可能性があるため、犬だけでなく人間にとっても予防が非常に重要です。
現在、SFTSに対する特効薬は存在しないため、マダニに噛まれないようにする予防措置が最も効果的な方法とされています。

SFTS

3-2. ライム症

ライム症はマダニが媒介する別の病気で、犬では発熱や食欲不振、関節の腫れを伴う多発性関節炎の症状が見られることがあります。
人間においても風邪のような症状の後に神経症状や関節炎が出現することがあり、犬と人間の両方で注意が必要です。
感染しても症状が表れないことが多いため、定期的な健康診断が推奨されています。

3-3. バベシア症

バベシア症はマダニによって犬の赤血球に感染する原虫が引き起こす病気で、発熱や食欲不振、吐血性貧血を引き起こすことがあります。
この病気は特に重度の貧血や黄疸、多臓器不全を引き起こす場合があり、重症化すると命にかかわることもあります。有効な薬剤が限られているため、予防が非常に重要です。

バベシア症
バベシア症

4. 犬がダニに感染しないための予防策は?

4-1. 定期的な駆除薬の投与

ダニ予防の最も効果的な方法の一つは、定期的に駆除薬を投与することです。
市販されているスポットタイプの駆除薬や、食べるタイプのチュアブル駆除薬があります。
これらの薬は動物病院で処方されることが多く、犬の体重や健康状態に合わせて適切なものを選ぶことが大切です。
駆除薬はダニだけでなくノミの予防にも有効であり、定期的な投与によりダニによる感染症のリスクを大きく減らすことができます。

4-2. シャンプーとブラッシングでの対策

もう一つの重要な予防策は、犬を定期的にシャンプーし、毎日ブラッシングすることです。
これにより、ダニやその他の外部寄生虫が犬の体に付着するのを防ぐことができます。
特に散歩後は犬の足を洗い、全身をブラッシングすることで、ダニが体に付着するのを効果的に防ぐことができます。また、シャンプーは犬の皮膚を清潔に保ち、ダニが繁殖する環境を取り除く助けにもなります。

5. 犬についたダニの見つけ方

ダニは非常に小さく、初期の感染では見つけにくいことが多いです。
定期的なダニチェックは、犬の健康を守るために重要です。
ダニチェックを行う際には、犬の被毛を逆立てて皮膚を丹念に観察します。
特に耳の後ろ、首の周り、脇の下、股間など、体温が高く湿度の高い場所を中心にチェックすることがポイントです。また、ダニは吸血後に体が膨らむため、小さなしこりを感じたらそれがダニである可能性が高いです。

マダニの発見

6. ダニを発見!愛犬を守るためにできる対処法は?

ダニを発見した場合、決して素手でつぶしたり引き抜いたりしないでください。
これによってダニの体液が犬の皮膚に残り、さらなる感染を引き起こすことがあります。
ダニを安全に取り除く方法としては、専用のダニ取りピンセットを使用し、ダニの体をしっかりと掴んでゆっくりと引き抜くのが最適です。
除去後は、その部分を消毒し、犬が快適に過ごせるようにしてあげてください。
不安な場合やダニの除去に自信がない場合は、速やかに獣医師に相談しましょう。

ダニを発見!愛犬を守るためにできる対処法は?

7. まとめ

ダニは犬だけでなく、人間にも様々な病気を伝える可能性があるため、予防と早期発見が非常に重要です。
犬をダニから守るためには、定期的な駆除薬の投与、適切なシャンプーとブラッシングが効果的です。
また、散歩から戻った際には必ず犬の体をチェックし、特にダニが好む暖かく湿度の高い部分を念入りに調べましょう。
ダニを発見した場合には、正しい方法で迅速に除去することが、犬の健康を守る上で重要です。
また、犬の健康状態や行動に変化が見られた場合には、早めに獣医師に相談することをお勧めします。
ダニ予防は、愛犬との快適な共生のためにも欠かせない習慣となります。

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